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【連載第7回】 A5判 「柳生忍群」(全5巻)-その1- 

柳生忍群 第1巻(解題)
三洋社発行。 本編192ページ。 昭和35(1960)年夏(8月頃?)に出版された。 白土三平『忍者武芸帳』の出版社である三洋社は、その成功と人気の余勢をかってか、昭和35年から翌36年にかけて忍者もののシリーズを次々と送り出した。 小島剛夕によるこの『柳生忍群』(全5巻)もそうしたシリーズのひとつであり、他には久慈あきらの『伊賀幻法帖』(全4巻)や橋本よしはるの『六人の忍者』(全4巻)などがある。

小島が単行本の形で本格的な長編を世に送り出すのは、『忍法!! 黒い影』以来約一年半ぶりとあって、第1巻から滲み出てくる作品への意気込みは尋常ならざるものがある。 五味康祐の未完小説「柳生武芸帳」を始め多くの時代小説から霊感を受けて構想を練ったと思われるストーリーは、ページを繰る度に広がりと深さを見せ、興趣は尽きない。 躍動感溢れる殺陣シーンは、まるで実写映画を見ているような迫力。 柳生十兵衛が立ち合い中の事故に見せかけ自らの左眼を潰してまで会得した「日ノ一ノ術」とは何か? そして、柳生一族の目的とは? 多くの人々の幸福や生命を巻き込んだ凄絶な戦いが幕を開ける。 のちの「子連れ狼」を髣髴させる大作の序章である。

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柳生忍群1(表紙)  本文P2

本文P49  本文P184


(補足/by風かをる)
剛夕先生は貸本時代から多くの柳生関連の作品を発表しています。 この作品をもとにしてさらにストーリーに奥行きを持たせたり、コミカルに扱ったりした作品が青年誌、少年誌に掲載されました。

 ・十兵衛の目  昭和41年「ぼくら」増刊号
 ・片目柳生   昭和42年「少年サンデー」連載
 ・柳生陰ノ流レ 昭和44年「週刊漫画アクション」連載

なお、青年誌「コミックmagazine」に掲載された『柳生忍群』には『日ノ一ノ術』は出てきません。


【参考画像】

「ぼくら」掲載作品  「少年サンデー」掲載作品

「週刊漫画アクション」掲載作品  「コミックmagazine」掲載作品



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【連載第6回】 B6判 「忍法!!黒い影」 

(解題)
ひばり書房発行。 本編128ページ。 「ひばりの漫画全集」第417巻として昭和34(1959)年4月頃に出版された。 小島剛夕が漫画家として初めて描いた本格的な忍者もの。 小島が好んで描く女忍者「おぼろ」の原型と言えるキャラクターも登場。 甲賀忍法帖を巡る甲賀と伊賀の争いがメインストーリーだが、主人公小平太の出生の秘密や小平太を嫌う多聞との確執、逆臣に乗っ取られた夕月城の話、謎の忍者「黒い影」の存在など、いろいろな要素を詰め込み過ぎて、少々まとまりに欠けるのが残念である。 絵はさすがに上手。

※画像は雑誌からのスキャン
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忍法!!黒い影・表紙  忍法!!黒い影・P1

忍法!!黒い影・P37  忍法!!黒い影・P69


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【連載第5回】 B6判 「南海菩薩剣」 

(解題)
ひばり書房発行。 本編128ページ。 「ひばりの漫画全集」第397巻として昭和34(1959)年2月頃に出版された。 「倭寇」と恐れられた「八幡船」の海賊を題材にした野心作。 山岡荘八か村上元三あたりの小説からインスパイアされたと思われる。 両親を海賊に殺された少年と、海賊の頭領の息子でありながら海賊を嫌って出奔し幕府の海事奉行目付となった青年が主人公。 女っ気が少ないのも特徴。 熱い男の世界をダイナミックに描写し、爽快感に満ちた明るい一作である。 湿っぽい印象が強い小島作品の中では異色作と言えよう。 個人的には好きな作品。

(補足/by風かをる)
成瀬氏が個人的に好きとおっしゃっている『南海菩薩剣』は剛夕先生も気に入っていらっしゃったようです。 後年、ボーイズライフという雑誌に『海原の剣』と改題し、ストーリーはほぼ忠実に描きなおしています。 ボーイズライフ掲載の『海原の剣』に関してのあらすじ等は2014年10月6日の【閑話】をご参照ください。  なお、『山岡荘八か村上元三あたりの小説からインスパイアされたと思われる。』という部分では1958年に発行された村上元三作「八幡船」が思い当たります。 この作品は1960年「海賊八幡船」というタイトルで、映画化されています。(東映・大川橋蔵主演)


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南海菩薩剣・表紙 南海菩薩剣・扉絵 南海菩薩剣・P12

南海菩薩剣・P87 南海菩薩剣・P125 南海菩薩剣・P127


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【連載第4回】 B6判 「隠密黒妖伝」  

(解題)
ひばり書房発行。 本編128ページ。 「ひばりの漫画全集」第387巻として昭和33(1958)年12月頃に出版された。 今もなお「ウィキペディア」など一部の誤った記述では小島剛夕のデビュー作とされている作品。 公儀隠密風早隼人が倒幕を企てる尾張藩の野心を打ち砕く痛快編。 前半の江戸でのお話にページ数を割き過ぎた感があり、そのため後半の終わりでのクライマックスが舌足らずに終わった印象を拭えない。 悪人たちの最後があっけなくて残念である。

(補足/by風かをる)
1980年、集英社から『まんが劇画ゼミ』いう書籍が発行されています。 (企画・編集:手塚治虫・尾崎秀樹・副田義也) その第7巻(全8巻)に横山光輝、ジョージ秋山両先生と一緒に小島剛夕先生についての諸々が掲載されています。

文章を読むと先生自ら原稿をお書きになられたというより、インタビューからの書き起こしかなと感じる部分が多々あります。 原稿を書く場合は、推敲・校正という作業が重要です。 しかし、インタビューを受けて話していくときには時代が行ったり来たりしますし、細かい年月日には記憶違いもあるでしょう。 また、音で聞いているので誤字・脱字も出てくると思います。 (「おぼろ十忍帖」が「おぼろ十人帖」になっているのが気になりました。)

剛夕先生が紙芝居時代を経て少年誌に絵物語を描き始めたという件では、昭和28年に集英社からの依頼で『はやぶさ剣士』(おもしろブック)をお描きになったという話が出てきます。 ところが実際におもしろブックに『はやぶさ剣士』が連載されたのは昭和31年6月号からです。 その後に「少年物は性に合わなかった。」という理由で貸本出版社からの依頼を受けて単行本を書き始め、『隠密黒妖伝』を苦労して描き上げ、これが本格的な劇画のデビュー作となった。と、続きます。 この『隠密黒妖伝』は昭和32年3月に発表したという詳細な記述もあります。

「ウィキペディア」などの『隠密黒妖伝』が小島剛夕の長編漫画デビュー作であるという記載は、案外この本がソースになっているのかもしれません。 剛夕先生に細かい年代の思い違いがあってもお話(インタビュー)の中では流れて行ってしまいます。 それがそのまま文章になってしまい、今でも確実性の高い資料として使われているのではないでしょうか。 興味深いお話やなるほどと合点がいくこともたくさんあるだけに、細かい年代や肝心なデビュー作をもう少しきちんとお調べいただいていたら、と残念に思います。


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隠密黒妖伝・表紙 隠密黒妖伝・扉絵 隠密黒妖伝・P3

隠密黒妖伝・P24 隠密黒妖伝・P25 隠密黒妖伝・P87


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「乱TWINS」にて剛夕作品が復活!  

乱TWINS(ツインズ)2018年1月12日発行 リイド社
月刊誌・毎月13日発行/特別定価430円(税込)
~名作が復活! 特別企画第四回「薄墨主水地獄帖/獣の館」~

コミック乱ツインズ2018-01-12  薄墨主水地獄帖・獣の館


名作復刻の第4弾、「薄墨主水地獄帖」から「獣の館」です。 この作品は昭和44年3月11日号のコミックmagazineに掲載されました。 実は2月号の予告にこの作品の記載がなかったため剛夕作品の掲載はないものと思っていました。 発売日を1週間ほど過ぎた頃、ふと思いついて検索しましたら、ナント、第4弾の掲載の記事が・・・! 急ぎ、コンビニに飛んでいきましたが3軒回ってすべて売り切れ、ヤフオクで見つけて定価のおよそ半額で入手しました。 
3月号の予告にも掲載がありませんが、次回は忘れずにチェックしようと思っています。
探求日誌 | TB(0) | CM(0) [ 2018/01/26 21:14 ]

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【連載第3回】 B6判 「必殺剣乱れ柳」  

(解題)
ひばり書房発行。 本編128ページ。 「ひばりの漫画全集」第364巻として昭和33(1958)年11月頃に出版された。 大塩平八郎の乱の残党狩りと称して無法を働く暗殺集団「六法組」の真の目的とは? 謎の素浪人五月雨主水(実は大目付支配下の隠密で卯月柳四郎)が主人公の娯楽時代劇。 手塚キャラの下田警部にそっくりな岡っ引きも登場。 絵の出来は申し分ないが、ストーリー展開がやや平凡。 そのため前二作に比べて、登場人物の影が薄いような気がする。

(補足/by風かをる)
「必殺剣乱れ柳」が発行されるおよそ2年半前に集英社から発行された「おもしろブック」に【はやぶさ剣士】という絵物語が約半年間掲載されています。(昭和31年6月号~12月号) 全話を所有しているわけではありませんがストーリーが「必殺剣乱れ柳」に酷似しています。 細部は組み立て直してはいますが大筋ではほぼ同じであると言って差し支えないと思います。

剛夕先生は昭和30年代前半、少年誌に多くの絵物語を掲載しています。 「無明逆風剣」から1~2か月後の長編漫画発行となれば殺人的と言ってよいほど多忙を極めていたことは容易に想像がつきます。 絵も少々荒れている感じがしますし、成瀬氏が「ストーリー展開がやや平凡。 そのため前二作に比べて、登場人物の影が薄いような気がする。」という感想を持たれたのも頷けます。


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必殺剣乱れ柳・表紙 必殺剣乱れ柳・扉P1 必殺剣乱れ柳・P12

必殺剣乱れ柳・P13 必殺剣乱れ柳・P128


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【連載第2回】 B6判 「無明逆風剣」  

(解題)
ひばり書房発行。 本編128ページ。 「ひばりの漫画全集」第342巻として昭和33(1958)年9月あるいは10月頃に出版された。 『かげろう殺法』の後日談と言える一編で、謎の素浪人かげろう扇四郎が再び胸のすくような活躍を見せる。 ライバル左文字典獄も再登場。 大老水野越前守の失脚を狙う陰謀を背景に、扇四郎と盲目となった典獄の宿命の対決が描かれる。

タイトルの「無明逆風剣」は、扇四郎に打ち勝つべく典獄が自らの眼を焼いて会得した必殺剣の呼び名。 この「無明逆風剣」の名称とその技は、物語の冒頭に「無明逆流れ」という剣法の説明文があることから、南條範夫による連作小説「駿河城御前試合」の影響を大きく受けていること明白である。

小島はこの作品でもデビュー作に比肩する絵の上手さと語り口の妙で読者を魅了。 左文字典獄の性格描写も印象的で、敵役ながら憎めない人物として深く掘り下げて描かれている。

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無明逆風剣・表紙 無明逆風剣・扉 無明逆風剣・P111

無明逆風剣・P115 無明逆風剣・P116 無明逆風剣・P127


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 プロフィール

風かをる

Author:風かをる
その旅は昔々店じまいをした貸本屋さんから譲っていただいた数冊の「長編大ロマン」から始まりました。
小島剛夕作品に魅せられてン十年。果てしない探求の旅が続いています。

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