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【連載第11回】 A5判 「柳生忍群」(全5巻)-その5- 

柳生忍群 第5巻(解題)
三洋社発行。 本編144ページ。 昭和36(1961)年夏に出版された。 本文扉に副題として『宿命』と記されている。 第4巻をもって完結したにもかかわらず、どういうわけか出版された第5巻。 ストーリーは続編ではなく、全く関連性のない某藩でのお話。 表紙絵に記されている文言は、第3巻の内容と一致し、どうして第5巻のカバーに使用したのか意味不明。 さらに酷いのは、中身の絵。 似せてはいるものの、どこからどう見ても小島剛夕が描いたものでないのは明白。 当時小島と絵が似ていた久慈あきらが急遽代筆した可能性があるが、確証はない。 精彩を欠いた物語と絵。 粗製濫造を得意とする貸本漫画の悪しき実例として記憶されるべき本である。

(補足/by風かをる)
「柳生忍群」の5巻を読んだとき、成瀬氏とまったく同じ感想を持ちました。 4巻で終わっているのになぜ5巻? 絵柄が久慈あきらに酷似。 表紙の文言については3巻の内容に一致するとあるように2巻の巻末によく似た予告文言が記載されています。(以下抜粋)

剣の掟に生命をかける伊織……
忍びの宿命に生きぬくかげろう……
剣忍両道に苦しむ十兵衛……
そして云われざる骨肉を想う半蔵……
因果坂に今や血風月を濡らさんとして第二集は終わる!……

第5巻は確かにとってつけたような内容になっていて何かつながりがあるのではないかと何度も読み返したりしたものです。 つながりと言えば「柳生忍群・柳生十兵衛」の登場ぐらいでしょうか。 そして些細なことですが主要な登場人物の「佐四郎」、「伊織」の兄弟の名前が故意か偶然か宮本伊織、如月佐十郎と似ています。

4巻までのストーリーがのちの『柳生陰ノ流レ』(週刊漫画アクション連載)であるとすれば、この第5巻の内容が『柳生忍群』(コミックmagazine連載)にあたると考えます。 コミックmagazine連載のストーリーの中には「宿命」というタイトルもありますし良く似た話も掲載されています。


※「あらすじ」は<続きを読む>クリック

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【連載第10回】 A5判 「柳生忍群」(全5巻)-その4- 

柳生忍群 第4巻(解題)
三洋社発行。 本編160ページ。 昭和36(1961)年春から夏にかけて出版された。 多彩なキャラクターを自由自在に操った大作時代劇の事実上の完結編。 柳生十兵衛・かげろう・宮本伊織・服部半蔵・真田幸村らのそれぞれの行くべき道が示される。 急いで執筆したためか、第2巻・第3巻に比べて、登場人物の表情や動きに描き込みが少なく、全体的に絵が粗くなった感があり、残念である。 それでもストーリーは抜群に面白く、複雑に入り乱れた人物関係を大団円に向けて無駄なく収束させていく手腕は見事だ。 清涼感のあるハッピーエンドは好感が持てる。

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【連載第9回】 A5判 「柳生忍群」(全5巻)-その3- 

柳生忍群 第3巻(解題)
三洋社発行。 本編160ページ。 昭和36(1961)年3月9日に出版された。 本文扉に副題として「影の抄篇」と記されている。 第2巻に引き続き小島剛夕が快調に絵筆を走らせ、読む者を魅了。 柳生十兵衛と宮本伊織の決闘、かげろうと柳生忍群の対決、真田幸村とその配下の忍者の暗躍、可憐なヒロイン美保やユーモラスな沢庵和尚の登場など、第2巻以上に見所が多く、飽きさせない。 息も吐かせぬ面白さで次巻が早く読みたくなる。 丁寧に描き込まれた絵は第2巻同様に完成度が高い。

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柳生忍群・表紙  柳生忍群・扉(目次)

柳生忍群・本文1

柳生忍群・本文2


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【連載第8回】 A5判 「柳生忍群」(全5巻)-その2-  

柳生忍群 第2巻(解題)
三洋社発行。 本編176ページ。 昭和35(1960)年晩秋(11月下旬頃?)に出版された。 本文扉に副題として「黒いかげろう篇」と記されている。 第2巻の発売はかなり遅れたらしく、編集後記にお詫びが載っている。 しかし遅れただけあって、絵の完成度とストーリーの面白さは第1巻以上である。 前作のラストから十五年後が舞台。 如月佐十郎と利香の間に生まれ、忍者に育てられたかげろうが登場。 「風盗」と呼ばれる忍犬の群れとかげろう率いる忍者集団が対決する一連のシークエンスは『柳生忍群』全編の中でも屈指のアクションシーン。 その躍動感と迫力は、思わず手に汗を握るほどの出来栄え。 後半には宮本武蔵の養子宮本伊織も登場し、柳生十兵衛の身辺は俄かに慌ただしくなる。

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表紙 P2

P66-67(見開き)

P71 P79 P156


(補足/by風かをる)
「柳生忍群(全5巻)」は後年、「柳生陰ノ流レ」(週刊漫画アクション連載)として描き直されました。 只、物語に大きな影響を持つことになる「日ノ一の術」は「くノ一の術」として登場しています。 「くノ一の術」に関しての説明がありますが、無理やり感があり、今一つスッキリしません。 なぜ術の名前を変更したのか不思議です。

また、成瀬氏が躍動感と迫力を感じたと言われている場面(「風盗」と呼ばれる忍犬の群れとかげろう率いる忍者集団の対決シーン)は剛夕先生自身も大変気に入っていらっしゃたようでくり返し作品に取り入れています。 (例:「忍鬼 赤不動」 「忍法 影一字」 「忍者 ハヤト」等) また、剛夕先生が漫画化されている作品に柴田錬三郎原作の『赤い影法師』がありますが、剛夕先生はこの作品からたくさんのヒントを得ていたようです。 

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【連載第7回】 A5判 「柳生忍群」(全5巻)-その1- 

柳生忍群 第1巻(解題)
三洋社発行。 本編192ページ。 昭和35(1960)年夏(8月頃?)に出版された。 白土三平『忍者武芸帳』の出版社である三洋社は、その成功と人気の余勢をかってか、昭和35年から翌36年にかけて忍者もののシリーズを次々と送り出した。 小島剛夕によるこの『柳生忍群』(全5巻)もそうしたシリーズのひとつであり、他には久慈あきらの『伊賀幻法帖』(全4巻)や橋本よしはるの『六人の忍者』(全4巻)などがある。

小島が単行本の形で本格的な長編を世に送り出すのは、『忍法!! 黒い影』以来約一年半ぶりとあって、第1巻から滲み出てくる作品への意気込みは尋常ならざるものがある。 五味康祐の未完小説「柳生武芸帳」を始め多くの時代小説から霊感を受けて構想を練ったと思われるストーリーは、ページを繰る度に広がりと深さを見せ、興趣は尽きない。 躍動感溢れる殺陣シーンは、まるで実写映画を見ているような迫力。 柳生十兵衛が立ち合い中の事故に見せかけ自らの左眼を潰してまで会得した「日ノ一ノ術」とは何か? そして、柳生一族の目的とは? 多くの人々の幸福や生命を巻き込んだ凄絶な戦いが幕を開ける。 のちの「子連れ狼」を髣髴させる大作の序章である。

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柳生忍群1(表紙)  本文P2

本文P49  本文P184


(補足/by風かをる)
剛夕先生は貸本時代から多くの柳生関連の作品を発表しています。 この作品をもとにしてさらにストーリーに奥行きを持たせたり、コミカルに扱ったりした作品が青年誌、少年誌に掲載されました。

 ・十兵衛の目  昭和41年「ぼくら」増刊号
 ・片目柳生   昭和42年「少年サンデー」連載
 ・柳生陰ノ流レ 昭和44年「週刊漫画アクション」連載

なお、青年誌「コミックmagazine」に掲載された『柳生忍群』には『日ノ一ノ術』は出てきません。


【参考画像】

「ぼくら」掲載作品  「少年サンデー」掲載作品

「週刊漫画アクション」掲載作品  「コミックmagazine」掲載作品



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【連載第6回】 B6判 「忍法!!黒い影」 

(解題)
ひばり書房発行。 本編128ページ。 「ひばりの漫画全集」第417巻として昭和34(1959)年4月頃に出版された。 小島剛夕が漫画家として初めて描いた本格的な忍者もの。 小島が好んで描く女忍者「おぼろ」の原型と言えるキャラクターも登場。 甲賀忍法帖を巡る甲賀と伊賀の争いがメインストーリーだが、主人公小平太の出生の秘密や小平太を嫌う多聞との確執、逆臣に乗っ取られた夕月城の話、謎の忍者「黒い影」の存在など、いろいろな要素を詰め込み過ぎて、少々まとまりに欠けるのが残念である。 絵はさすがに上手。

※画像は雑誌からのスキャン
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忍法!!黒い影・表紙  忍法!!黒い影・P1

忍法!!黒い影・P37  忍法!!黒い影・P69


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【連載第5回】 B6判 「南海菩薩剣」 

(解題)
ひばり書房発行。 本編128ページ。 「ひばりの漫画全集」第397巻として昭和34(1959)年2月頃に出版された。 「倭寇」と恐れられた「八幡船」の海賊を題材にした野心作。 山岡荘八か村上元三あたりの小説からインスパイアされたと思われる。 両親を海賊に殺された少年と、海賊の頭領の息子でありながら海賊を嫌って出奔し幕府の海事奉行目付となった青年が主人公。 女っ気が少ないのも特徴。 熱い男の世界をダイナミックに描写し、爽快感に満ちた明るい一作である。 湿っぽい印象が強い小島作品の中では異色作と言えよう。 個人的には好きな作品。

(補足/by風かをる)
成瀬氏が個人的に好きとおっしゃっている『南海菩薩剣』は剛夕先生も気に入っていらっしゃったようです。 後年、ボーイズライフという雑誌に『海原の剣』と改題し、ストーリーはほぼ忠実に描きなおしています。 ボーイズライフ掲載の『海原の剣』に関してのあらすじ等は2014年10月6日の【閑話】をご参照ください。  なお、『山岡荘八か村上元三あたりの小説からインスパイアされたと思われる。』という部分では1958年に発行された村上元三作「八幡船」が思い当たります。 この作品は1960年「海賊八幡船」というタイトルで、映画化されています。(東映・大川橋蔵主演)


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南海菩薩剣・表紙 南海菩薩剣・扉絵 南海菩薩剣・P12

南海菩薩剣・P87 南海菩薩剣・P125 南海菩薩剣・P127


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風かをる

Author:風かをる
その旅は昔々店じまいをした貸本屋さんから譲っていただいた数冊の「長編大ロマン」から始まりました。
小島剛夕作品に魅せられてン十年。果てしない探求の旅が続いています。

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