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忍法帖・2【糸ぐるま】 

忍法帖2  忍法帖2-目次
忍法帖・2【糸ぐるま】 ひばり書房 定価150円
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・消えた城(久慈晃)
・赤い執念(社領系明)
・忍魔血刃帖(日高立矢)
・糸ぐるま(小島剛夕)45P



これは一人の女忍者の生命をかけた執念の記録である・・・それは常人には考えられぬ陰惨なものであった・・・

伊勢の国から伊賀へ入る木隠れ峠の夜空に真赤な狼煙が上がる所からこの物語は始まる。 下忍の加源太は上忍である陣十郎を助け任務を終えて里に戻った。 どんなに手柄をたてたとしても下忍の哀しさ。 その手柄は常に上忍のものとされた。

恋も同じである。 上忍の娘であるおぼろとどんなに好き逢っていても下忍の身でおぼろを妻に迎えることなどとうてい出来ることではなかった。 おぼろが加源太に想いを寄せ、なにくれと世話をすることが陣十郎の憎しみをいっそう煽った。 追い詰められた加源太は伊賀を抜け出し、立派な武士になっておぼろを迎えに来る決心をする。 その決心が固いことを知ったおぼろは糸ぐるまに巻きつけた糸の端を加源太に持たせる。 糸の長さは伊賀を抜ける木隠れ峠までの長さだった。

カラカラと廻る糸ぐるまを両手にしっかりと持ち、祈るように見つめるおぼろ。 おぼろの祈りも空しく糸ぐるまはその動きを止める・・・・。 そのときおぼろにある決意が・・・!

月日は流れ、おぼろは陣十郎と人目もうらやむほどの仲の良い日々を送っていた。 やがてある任務が陣十郎に下ったとき、美濃にその豪勇を誇る鬼伏将監の居城、鬼伏城。 二人は厳しい警戒に忍び込むことができずに三日を過ごしていた。 その夜を逃しては任務を遂行することができない。 陣十郎の手柄になるのなら・・・意を決したようにおぼろが立ち上がる。 辺り一面に深い霧が立ち込めていた。

「万一のことを考えてこれを持っていて。」と糸ぐるまを手渡すおぼろ。 「強く三度引いたらこの糸をたぐってね。 この霧では、帰り道をまちがえるといけないから・・・。」そういい残し霧の中に姿を消したおぼろ。 陣十郎は待った。 カラカラと廻る糸ぐるまを手に・・・やがて糸ぐるまはその動きを止めた。 じりじりする焦燥と緊張の時が流れてゆく。 そう!ちょうどあの夜、おぼろが糸ぐるまをそんな思いで見つめていたのだ!

やがて糸ぐるまの糸が力強く三度引かれた。 陣十郎は喜び勇んで糸を手繰り寄せた。 そして霧の中から白刃が・・・! 一瞬、陣十郎の目にはその人影が加源太に見えた。 霧の中から現れたのは鬼伏城の食客を名乗る塚原小太郎だった。 おぼろは塚原の腕を試し自ら進んで塚原に斬られた。 「この糸をたぐる男・・・あなたなら斬れる・・・。」そういい残して・・・。

「忍法帖」の『おぼろ』が初出でしょうか。 これから『おぼろ』という名の女忍が様々な術を駆使する作品が登場します。 やがて昭和40年代の初め、剛夕先生は貸本から週刊誌へと活躍の場を移していくのですが、その記念すべき第一作が「週刊漫画アクション」掲載の『おぼろ十忍帖/糸車』になります。
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風かをる

Author:風かをる
その旅は昔々店じまいをした貸本屋さんから譲っていただいた数冊の「長篇大ロマン」から始まりました。
小島剛夕作品に魅せられてン十年。果てしない探求の旅が続いています。

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