fc2ブログ

≫ EDIT

【連載第67回】瘴気(忍法秘話別冊) 

諏訪栄名義 長編単行本

小島剛夕が諏訪栄の別ペンネームで発表した貸本店向けA5判単行本は、全部で七冊ある。 このうち、三冊の『忍法かげろう』は、過去に発表した作品(「忍びのヒデト」)を改題して再録したものである。 また、佐藤プロから刊行された三冊(『忍法影一字』『忍鬼赤不動』『夜の戦鬼』)も確証はないが、全て過去作品の改題再録本ではないかと考えられる。 となると、完全な書き下ろしは、「忍法秘話」の別冊として出された『瘴気』のみで、少々淋しい。 新書判コミックスの『陰に棲む者』と『ムサシ』全2巻の計三冊は、貸本漫画出版社の東考社から出されたが、貸本店向けの本とは見なさず、ここではあえて紹介しない。

瘴気(忍法秘話別冊)

(解題)
昭和39(1964)年3月1日に加藤書店(青林堂)から発行された。 本編151ページ。 暗い生い立ちの過去を持つ小野派一刀流の天才剣士・神子上鬼四郎は、師匠・小野忠明を殺された怨みから柳生一門と対立し、やがて駿河大納言・徳川忠長を巡る暗闘に巻き込まれていく。 殺伐とした剣法と忍法の相克をダイナミックかつスピーディーに描いた娯楽活劇。 天才剣士と柳生忍群の対立というお得意の題材に、一刀流の後継争いと徳川家剣術指南役推挙に関する新解釈を加えたところが、野心的である。 絵の完成度も申し分なく、小島剛夕の本領が発揮された一作。 惜しむらくは、神子上鬼四郎と柳生十兵衛の間に決着が付かず、続編が書かれなかったことだろう。

(あらすじ)
一刀流の始祖・伊藤一刀斎には、小野善鬼と神子上典膳という二人の高弟がいた。 徳川家の剣術指南役推挙を巡る二人の高弟の真剣勝負は、師・一刀斎の意外な助勢もあって、神子上典膳が勝利を収める。 一刀斎が典膳を助けた理由は、善鬼の体の中に卑しい忍者の血が流れていたからであった。 一刀流の跡を継ぎ徳川家剣術指南役となった典膳は、名を小野忠明と変え、善鬼の子・四郎を引き取って神子上鬼四郎と名付けた。 全ては、兄弟子・善鬼への償いからだった。 数十年後、小野忠明から一刀流の極意を教え込まれた神子上鬼四郎は、凄腕の剣士となっていた。 だが、師・忠明は病魔に犯されていた。 門弟の多くは、一刀流に見切りをつけ、道場を去って行った。 その中には、一刀流のライバルである柳生の門を叩く者もいた。 それを許せない鬼四郎は、かつての道場仲間を待ち伏せて一撃で斬り伏せる。 そのことが柳生一門の怒りを買い、病床にあった師・忠明は、柳生十兵衛とその配下の柳生忍群によって闇討ちに遭い殺される。 柳生の卑怯なやり方に怨みを抱いた鬼四郎は、柳生一門に果たし状を送り付ける。 こうして、神子上鬼四郎と柳生一門のいつ果てるともない死闘が始まった。

67-01.jpg 67-02.jpg 67-03.jpg

67-04.jpg 67-05.jpg 67-06.jpg


コメントの投稿











管理者にだけ表示を許可する
この記事のトラックバックURL
 カレンダー
03 | 2024/04 | 05
- 1 2 3 4 5 6
7 8 9 10 11 12 13
14 15 16 17 18 19 20
21 22 23 24 25 26 27
28 29 30 - - - -
 プロフィール

風かをる

Author:風かをる
その旅は昔々店じまいをした貸本屋さんから譲っていただいた数冊の「長篇大ロマン」から始まりました。
小島剛夕作品に魅せられてン十年。果てしない探求の旅が続いています。

 月別アーカイブ
 QRコード
QRコード
 ブログ内検索