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【連載第56回】小島剛夕長篇大ロマン44 さむらい雪化粧 

44 さむらい雪化粧(純愛忠臣蔵シリーズ6)

(解題)
つばめ出版発行。 本編130ページ。 昭和40(1965)年11月頃に出版された。 前作『元禄花見踊り』以来約八ヶ月ぶりの登場となる「純愛忠臣蔵シリーズ」の第六作にして最終作は、討ち入りから最後に脱落した者として有名な毛利小平太のお話。 血気盛んで忠義の道に一徹な武辺者の毛利小平太が、市井の人々の情けと愛を知って、主君の仇討ちという自分の進むべき道が本当に正しいものなのかどうか悩む様を描く。 初志を貫徹できず四十七士への賛美の陰に消えて行った脱盟者に焦点を当てた野心作だ。 エピソードの配置にメリハリがあり、様々な出来事や出会いを通じて、武士道の忠節に凝り固まる小平太の心が徐々に揺れ動いていく丹念な心理描写が秀逸である。

武士の面目の無意味さを小平太に説く上杉家の侍の名が古賀進策なのは微笑ましい。 古賀進策、すなわち、つばめ出版・ひばり書房の漫画家仲間である古賀しんさく(後の古賀新一)の名から頂戴した役名である。 なお、この作品は、後にリメイクされ、「剛夕忠臣蔵」シリーズの一つとして『別冊漫画アクション』昭和45(1970)年12月26日号、翌46(1971)年1月9日号、1月23号に全三回掲載された。 リメイク版でも上杉家の侍の名は古賀進策である。

(あらすじ)
播州赤穂城明け渡しの日は、刻一刻と迫っていた。 血気盛んな主戦籠城派の毛利小平太は、穏便な開城を主張する和平恭順派の家老・大野九郎兵衛に対して、苛立ちを募らせていた。 そんな小平太を筆頭家老・大石内蔵助は「人それぞれ考え方が違う」と言って窘める。 そこへ九郎兵衛が家財を纏めて蓄電しようとしているとの知らせが入った。 仲間と共に九郎兵衛宅を襲った小平太は泣きながら命乞いをする九郎兵衛を見て蔑むのだった。

赤穂開城後、小平太は江戸へ向かった。 道中、急病で体調を崩した小平太は、川のほとりで倒れているところを、箱根で静養していた美しい姉妹・おりつとおみねに救われる。 この美しい姉妹は、江戸の商家の娘だった。 二人との穏やかな交流の日々を重ねてゆくうちに、小平太の忠義一筋の頑なな心にも、徐々に変化の兆しが表れる。 それを見抜いたのは、仇討ち急進派を説得するため江戸を訪れた大石内蔵助だった。 用事を終えて京都へ戻る内蔵助を見送った小平太は、その帰り道、内蔵助を付け狙う上杉家の家臣と遭遇する。 不意を衝いて、五人全員を斬り倒す小平太。 しかし、後から駆け付けた凄腕の古賀進策には全く歯が立たず、尺八一本でいとも簡単にあしらわれる。 打ち据えられ意識が遠のいていく小平太に、古賀進策は武士道の愚かさを説く。 失神する瞬間、小平太の脳裏に浮かんだのは、あの美しい姉妹・おりつとおみねの面影だった。 敗北の屈辱と死への恐怖は、小平太の心に人間らしい感情を呼び起こした。 この日を境に、討ち入りに対する小平太の覚悟は、大きく揺らぐことになるのだった。

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風かをる

Author:風かをる
その旅は昔々店じまいをした貸本屋さんから譲っていただいた数冊の「長篇大ロマン」から始まりました。
小島剛夕作品に魅せられてン十年。果てしない探求の旅が続いています。

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