fc2ブログ

≫ EDIT

怪談19 【道成寺】 

昭和35年1月頃の発刊と推測されます。

<怪談19>
・奇妙な死(古賀しんさく)
・道成寺(小島剛夕)36P
・幻の船(サツキ貫太)
・乙女雪(山下よしお)
・鬼畜(浜慎二)

表紙絵、扉絵をコピーにて所有していた作品です。 カバー欠ながら本体を入手しました。 

題名の通り「安珍清姫」がもとの作品です。 ただ、清姫が憤怒のあまり蛇に姿を変えるという部分をかなり変更しています。 一見救いがなさそうな禁断の愛という結末にもある意味で救いを感じることができるのも剛夕先生の優しさでしょうか。

※画像クリックで大きな画像がご覧いただけます。
※あらすじは「続きを読む」をクリックしてください。


怪談19 怪談19(口絵) 怪談19(扉絵)




寺小姓の吉弥は雨に降りこめられ難儀をしている高貴な姫君に手を貸す。 送って行った先は、何人も入ることを許されない禁断の地であった。 一目見たときから忘れえぬ人となった清姫を慕う気持ちは日々強まり、吉弥はついに掟を犯し、禁断の地へと足を踏み入れる。

しかし、その逢瀬も寛永寺の慈海上人の知るところとなり清姫の悲しい身の上を聞かされる。 清姫は人間ではなかった。 上野の森に住む美しい一羽の鶴の精だったのだ。 人間の身勝手から仲間を殺され、姫鶴と呼ばれたこの美しい鶴だけが生き残ったという。 その話に心を痛めた輪王寺の宮が鶴の供養のため五輪塔を建て、ここを禁断の地と定めたのであった。

仏の道は厳しい、吉弥は髪を下し名も安珍と改めて修行の旅に出た。 後には五輪塔に誰を待つのか寂しげな姫鶴の姿が残った。 やがて秋風が吹き、寒い冬が訪れる頃、姫鶴の姿が消えた。

激しい吹雪の中、旅を行く一人の娘。 それこそ愛しい吉弥の後を追う清姫の姿だった。 やっとのことで道成寺の僧坊にいるという吉弥改め安珍の消息を知り、はやる心を抑えて道成寺を訪れる清姫。 しかし僧の戒律の前に会うことを許されない。 安珍も清姫への絶ち難き思慕を必死にこらえる。

雪の中を待ち続ける清姫を見て安珍の兄坊が人助けなら戒律に触れまいと気を利かせる。 しかし時遅く、そこには一羽の鶴の死骸が・・・。 息絶えた鶴を抱き、雪の中を彷徨う安珍。

時は流れ、道成寺の鐘楼に一羽の鶴が住み着いたとの噂が・・・。 その鶴は鐘を釣った横木を毎日こつこつとつついているという。 横木は細く削られ、鐘が落ちるやもしれぬという話を耳にしながらその鐘の真下で回向する安珍。 奇しくもその日は安珍が清姫と出会ってからちょうど一年目であった。

大音響とともに鐘が落ち、安珍はその鐘の中に閉じ込められてしまう。 おりしも上野寛永寺の住職が安珍を訪ね来て、その鐘の上に座る清姫の幻影を目にする。 「南無! 南無観世音菩薩!」期せずして全山にこだまする菩提経。 

霧が流れて、そこには恩讐の影もない静けさが残った。 上人は舞い立つ鶴の羽の音を聞いた。 一羽・・・二羽・・・そう二羽の鶴の羽の音を・・・。
怪談 | TB(0) | CM(0) [ 2013/01/06 11:09 ]
コメントの投稿











管理者にだけ表示を許可する
この記事のトラックバックURL
 カレンダー
03 | 2024/04 | 05
- 1 2 3 4 5 6
7 8 9 10 11 12 13
14 15 16 17 18 19 20
21 22 23 24 25 26 27
28 29 30 - - - -
 プロフィール

風かをる

Author:風かをる
その旅は昔々店じまいをした貸本屋さんから譲っていただいた数冊の「長篇大ロマン」から始まりました。
小島剛夕作品に魅せられてン十年。果てしない探求の旅が続いています。

 月別アーカイブ
 QRコード
QRコード
 ブログ内検索