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オール怪談35【おぼろ舞い】 

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オール怪談35  【おぼろ舞い】
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(S37/10)掲載作品

・黒い花(いばら美喜)
・おぼろ舞い(小島剛夕)
・奇妙な葬式(古賀しんさく)
・黄金の酒(北風三平)



互いに慕いあってはならない忍びの掟。『おぼろ』は「おぼろ舞い」という秘術を持つ優れた女忍、『次郎』は幼い頃、戦で両親を失くし、『おぼろ』の父親に拾われて忍びの修練に励む若者だった。

生まれながらにして忍びの『おぼろ』とは異なり、常人としての気持ちを抑えかねている『次郎』。『次郎』に心惹かれながらも掟に縛られる『おぼろ』。しかし『おぼろ』の心を縛っているものは掟だけではなかった。ともに修練を重ねながら『おぼろ』の「おぼろ舞い」という秘術を垣間見た『次郎』はいつかその秘術を盗んでやると『おぼろ』に宣言する。「いやよ、それだけはやめて・・・!」戸惑う『おぼろ』。

そんな『おぼろ』と『次郎』に密命が下った。狙うは大坂城天守閣。石田三成が反徳川派の気脈を通じる大名達の連判状だ。実は『次郎』は最初から生きては帰れない役目だった。『おぼろ』が連判状を持ち出すための単なるオトリとして利用されたのだ。

大坂城に忍び込んだものの鉄砲隊に狙われ傷つく『次郎』。連判状を持って早く逃げろと『おぼろ』に叫ぶが、『おぼろ』は逃げようとはしなかった。「バカだなァ・・・人なみな心は持つなと言ったのはそなただぞ・・・。」「人なみな心・・・・。」そうつぶやくと『おぼろ』は顔を覆って泣き出した。「ああ・・・人なみな心になりたかった。でも・・・それができなかったの。」

「次郎、私の秘術おぼろ舞いをみせてあげる。なぜ私が人なみな心を・・・恋をおそれたのかわかるわ。さようなら次郎!」そう叫ぶと石垣の上を堀に向かって走り出す『おぼろ』。同時に鉄砲隊の銃声が響いた。

堀に飛び込んだ『おぼろ』は両の小袖を広げ宙に舞い上がった。「おおっ!おぼろ舞い!」苦しい息の下で『次郎』の目に『おぼろ』と一羽の鳥の姿がダブった。空に向かって轟く銃声・・・。そして堀の水面には一羽の鳥が・・・。

「うう・・・おぼろ・・・・そうか・・・お前は・・・。」

人なみの心をもつことは術の破れでありそれはおのれの正体をみせねばならぬことであった・・・哀しい正体を・・・・
オール怪談 | TB(0) | CM(0) [ 2008/08/18 18:17 ]
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風かをる

Author:風かをる
その旅は昔々店じまいをした貸本屋さんから譲っていただいた数冊の「長篇大ロマン」から始まりました。
小島剛夕作品に魅せられてン十年。果てしない探求の旅が続いています。

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