忍鬼赤不動



(解題)
佐藤プロ発行。 本編86ページ。 昭和41(1966)年4月1日発行の『全国貸本新聞』第93号に掲載された新刊広告に拠ると、同年4月頃に出版された。 表題作の他に、鈴木洸史による「飢狼の河」(41ページ)が併載されている。 さて、この「忍鬼赤不動」も、ところどころに原稿を大きくブローアップして修正した跡があるため、前出の「忍法影一字」と同様に、書き下ろし作品ではなく、過去にどこかの雑誌に掲載された作品の再録ではないかと思われる。 だが、これに該当するオリジナル作品は何であるか、今のところ不明である。 また、この「忍鬼赤不動」は二話構成だが、第一話と第二話では、主人公が似ている以外、全く関連性がない。 火を使った忍法「赤不動」が登場するのは第一話。 この第一話には、又もや「風盗」と呼ばれる忍犬との戦いのエピソードが使用されている。 これはもはやマンネリと言わざるを得ない。 第二話は、秘巻を巡る柳生小四郎と真田忍者の死闘を描く。 第一話・第二話に共通して言えるのは、諏訪栄名義で描いたことを考慮に入れても、小島の手とは思えないほど酷く拙い絵だということ。 三洋社版『柳生忍群』第5巻と同様に、この「忍鬼赤不動」は誰か他の人物によって描かれたのではないか、と思うのだが…。
(あらすじ)
第一話/「風盗」と呼ばれる凶悪な忍者を倒す命が下った。 討伐隊の忍者は、野犬の群れとの壮絶な死闘を経て、ついに「風盗」の頭領と対峙する。
第二話/天皇より将軍家に下された秘巻を狙って、八人の真田忍者が動き出した。 秘巻を守る命令を受けた柳生小四郎は、真田忍者を迎え撃つ。
(補足/by風かをる)
第一話に関しては「A5判/柳生忍群2巻」の補足参照。 また、「忍鬼赤不動」の第二話は「
剣豪画集・1」を参照してください。 基になった作品は「剣豪画集・2」に掲載された『幻法武芸帖/七人の忍者』だと思われます。 そしてこの作品は昭和37年8月15日発行の少年ブックに掲載された「忍者一番」の原稿をコマの大きさを変えたりして編集し直した再録です。 ただ、問題は「忍者一番」の作者が久慈あきらとなっていることです。 剛夕先生と久慈あきら氏の関係については、まだ整理しきれていないので改めて検証してみたいと考えています。 参考のため「忍者一番」の画像を載せておきます。

