49 無常日月記 后編/漂白の巻
(解題)
つばめ出版発行。 本編130ページ。 昭和41(1966)年8月頃に出版された。 波乱の運命に左右される男と女の行き着く果てを描いた大作の完結編。 前編同様に、この後編も第24巻『角兵衛獅子』の内容と極めて似たところがある。 とりわけ、幕末の江戸を舞台にしたクライマックスは、設定・展開共に『角兵衛獅子』と酷似する部分が多い。 『角兵衛獅子』は維新後まで物語を引っ張って暗く悲しい結末に到るが、「無常日月記」は余韻のある静かで穏やかなラストを迎える。
(あらすじ)
長い流転の時を経て、ついに再会を果たした時次郎とお久美。 しかし、喜びも束の間、病気のお久美は、時次郎の腕に抱かれてあの世へと旅立つ。 悪人・六蔵に攫われた娘・お珠のことを時次郎に頼んで。 時次郎には悲しみに暮れている暇はなかった。 お珠はどこへ行ってしまったのか。 時次郎に密かに想いを寄せる女旅芸人・おえんの助けを借りながら、お珠を捜す旅が始まった。 その後を、目明し・辻の万吉が追い駆ける。

