30 虚無僧月夜(小島剛夕・名作劇場4)
(解題)
つばめ出版発行。 本編146ページ。 昭和38(1963)年12月頃に出版された。 『書籍雑誌卸月報』には同年の10月号と11月号に出版広告が載っているのを確認。 悲運に付き纏われる男の生涯を追った大作の完結編。 得体の知れない大きな力に運命を狂わされた木暮泉之介が、忠義の武士から殺人鬼へと堕し、最後には息子の左次郎に斬られるまでを、畳みかけるようなテンポで描く。 前編の『万華地獄』とこの『虚無僧月夜』は、後年リメイクされ、「萬華地獄」というタイトルで『別冊漫画アクション』昭和44(1969)年10月号、10月4日号、10月18日号に全三回連載された。
(あらすじ)
両親だけでなく妹の雪恵までも喪った木暮泉之介は、決戦の地・比叡山へと向かう。 だが、泉之介が対峙した時、宿敵蒼風は、師である諸木玄庵との修法合戦で相討ちとなり、精魂尽き果ててすでに死んでいた。 謀略と闘争の血生臭い境遇から抜け出て新しい生き方を模索する泉之介は、亡き師・玄庵の一人娘百々代(ももよ)とのささやかな生活に、失われた幸福を取り戻す道を見つける。 百々代との間に一子左次郎を得て、泉之介の悲運も終わりを告げたかに見えた。 しかし、成長した左次郎が学問を志し坂本竜馬に付き添われて旅立ったその日、泉之介と百々代の夫婦は、蒼風の息子左次馬が藩主井伊直弼とその懐刀・長野主膳を暗殺すべく襲撃したその場に出くわしてしまう。 そして…。

