27 修羅無常(小島剛夕・名作劇場2)
(解題)
つばめ出版発行。 本編146ページ。 昭和38(1963)年8月頃に出版された。 薩摩藩の秘文書を巡る争奪戦の完結編。 前編同様、一気呵成に読ませる。 虚しい闘争の果ての無常観漂うラストが印象的。 この後編には、黒澤明監督・三船敏郎主演の映画「用心棒」「椿三十郎」に登場する主人公「三十郎」に性格も行動もそっくりな侍・如月三十郎が登場し、一種の狂言回しとして殺伐とした戦いを最後まで見届ける。 前編の『歸去来峠』とこの『修羅無常』は、昭和43(1968)年に『影法師』と改題されてつばめ出版から全2巻で再版された。 またリメイクもされ、「還らざる者」というタイトルで、『別冊漫画アクション』昭和44(1969)年11月1日号、11月15日号、11月22日号に全三回連載された。
(あらすじ)
秘文書を取り戻した卯月小七郎は、藩主からの信頼も厚く、秘文書を預かるという大役を仰せ付かる。 そこへ秘文書奪還を目指す風見修平ら伊賀組の隠密と、伊賀組から手柄を奪おうとする甲賀組の隠密が現れ、さらには、謎の浪人・如月三十郎も加わって、秘文書の争奪戦は混沌とした様相を呈する。 その戦いの最中、小七郎との生活に新しい未来を願っていた梢が自害。 怒りに燃える小七郎と修平の宿命の対決が迫る。

