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【連載第23回】小島剛夕長篇大ロマン11 南海の美少年 天草四郎 

11 南海の美少年 天草四郎

(解題)
つばめ出版発行。 本編126ページ。 昭和37(1962)年4月頃に出版された。 前作『花の濡れ燕』に掲載の次号予告には、「東映映画化決定の話題作!!諸君おなじみの大川橋蔵の秘める優美さに抗して、われらが巨匠小島剛夕が艶麗の筆もて立ち向かう傑作!!」と大きく宣伝されているが、この大川橋蔵出演の「東映映画化決定の話題作!!」というのは「愛のコリーダ」「戦場のメリークリスマス」の大島渚が東映京都撮影所で唯一監督した「天草四郎時貞」(昭和37年3月21日公開)のことである。 大島渚と大川橋蔵という顔合わせがミスマッチであるのは言うまでもないが、大島渚監督作品に小島剛夕が対抗するという構図も奇妙であることに変わりはない。 肝心の小島作品の中身はどうかと言うと、「島原の乱」という新味のない題材に大胆な設定と解釈で挑んだ野心作である。 キリスト教の信者ではない記憶喪失の少年が、「天童」と祭り上げられ、ついには総大将として民衆を率いて幕府軍と戦う。 虚構の存在が真実の存在となり、そしてまた虚構へと戻るまでを描く。

(あらすじ)
幕府のキリシタン弾圧が日に日に厳しさを増す九州・天草。 名前以外過去の記憶を一切喪失した少年・四郎は、キリシタン弾圧の惨状を目の当たりにする。 信徒たちはルソンからの船で救世主「天童」が到着するのを心待ちにしていたが、長崎奉行所の役人達に待ち伏せされ、矢を受けた「天童」は付き添いの神父とともに海中へ消える。 瀕死の「天童」達を救ったのは、四郎だった。 四郎は「天童」達を手当てする。 どうやら彼には医術の心得があるらしかった。 身についたことや言葉・文字は覚えているものの、両親のことなど過去の出来事は一切思い出せない四郎だった。 やがて、四郎の手当ての甲斐もなく、「天童」はこの世を去り、付き添いの神父も精根尽きて後を追うように死んでしまう。 二人は今わの際に四郎に言う。 新しい「天童」となってキリシタン宗徒を救ってほしい、と・・・。

(補足/by風かをる)カテゴリ『長篇大ロマン』、「南海の美少年 天草四郎」参照

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風かをる

Author:風かをる
その旅は昔々店じまいをした貸本屋さんから譲っていただいた数冊の「長篇大ロマン」から始まりました。
小島剛夕作品に魅せられてン十年。果てしない探求の旅が続いています。

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