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【連載第14回】小島剛夕長篇大ロマン2 赤い雲の峰 

2 赤い雲の峰

(解題)
つばめ出版発行。 本編135ページ。 昭和36(1961)年5月頃に短編誌『怪談』の増刊として出版された。 第1巻『花の炎』に掲載された次号予告では、第2巻のタイトルは「静心なく・・・」となっている。 また、『書籍雑誌卸月報』昭和36年4月号の広告には「十六夜月」の題名が載っている。 しかし、実際に出版されたのは、この『赤い雲の峰』である。 「静心なく・・・」または「十六夜月」と題された長編単行本はいずれも出版されていないが、同じタイトルの短編は両方とも存在する。 「十六夜月」は『怪談』第34号(昭和36年5月刊)に、「静心なく・・・」は「静こころなく・・・」と表記を一部変えて『怪談』第36号(昭和36年7月刊)に掲載された。 タイトルや題材の変更は、シリーズ初期の試行錯誤を感じさせて興味深い。

(あらすじ)
失踪した兄丞馬に代わり甲府勤番として着任した織部京之助は、川のほとりで美しい娘に出会う。 娘は名を明香(さやか)といい、山奥の里に住む根帯衆の頭領の血を引く者だった。 二人はすぐに恋に落ちるが、病弱な明香の命はあとわずかであった。 兄の同僚に黒塚弥十郎という男がいた。 兄の親友と称して弥十郎は京之助に付きまとう。 弥十郎の狙いは、根帯の里の奥に隠された金鉱だった。

(補足/by風かをる)カテゴリ『長篇大ロマン』、「赤い雲の峰」参照

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【連載第13回】小島剛夕長篇大ロマン1 花の炎 

1 花の炎

(解題)
つばめ出版発行。 本編157ページ。 昭和36(1961)年3月頃に短編誌『怪談』の別冊として出版された。 貸本時代を代表する人気シリーズ「小島剛夕長篇大ロマン」の記念すべき第一作。

『書籍雑誌卸月報』に拠れば当初は「愛染の門」という題名で出される予定だった。 敵対せざるを得ない男達の友情と彼らを愛した女達の哀しみを描いた一編。 女心を震わす哀愁のロマンチシズムと艶やかな画風は第一作から絶好調。 女性読者のハートをしっかりと掴んだ。

(あらすじ)
隠し目付として城内の抜け道の秘密を守る喬四郎は、ある雨の夜、その秘密を探らんとする公儀隠密を捕えて愕然とする。 それは、恋人かおりであった。 恋愛と任務の狭間で苦しむ喬四郎であったが、結局彼は任務を優先し、恋人かおりを牢に繋いだ。

一年後、喬四郎はかおりの亡霊に悩まされていた。 喬四郎の妹織江に密かな恋心を抱く新参者の相楽三平は、喬四郎が苦悩の理由を語らぬことに不審を抱く。 三平は織江に自分の妹が一年前に行方不明になったことをさりげなく伝えるが、その妹とは実はかおりであった。

三平もかおりと同じく公儀隠密で、城内の抜け道の秘密を探らんがため、半年前に素性を偽って召し抱えられたのだった。 やがて、三平と織江は喬四郎も公認の相思相愛の間柄となるが、三平の任務遂行の日も近付いていた。 三平と織江の恋も、喬四郎とかおりの時と同じように、儚く散る運命にあったのである。

(補足/by風かをる)カテゴリ『長篇大ロマン』、「花の炎」参照

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 プロフィール

風かをる

Author:風かをる
その旅は昔々店じまいをした貸本屋さんから譲っていただいた数冊の「長篇大ロマン」から始まりました。
小島剛夕作品に魅せられてン十年。果てしない探求の旅が続いています。

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