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【連載第12回】小島剛夕長篇大ロマン(全52巻) 

小島剛夕の人気を決定付けた長編単行本シリーズである。 美男美女の恋愛と悲劇という日本人が最も好む王道の物語が、精微で色気のある筆遣いによって、情緒豊かに展開。 ある意味通俗的ではあるが、その甘美で華麗な作品世界は、今もなお色褪せていない。

全52巻としたのは、第23巻『花咲ける武士道』の改題再録本である『戦国くの一帖』(昭和43年刊・つばめ出版)の巻末に掲載された「小島剛夕全作品リスト」に拠る。 ここで「A5長篇大ロマン」と分類されたものが全部で52作品。 実際は、『帰去来峠』『修羅無常』などの「小島剛夕・名作劇場」や『お軽と勘平』『紅だすき素浪人』などの「純愛忠臣蔵シリーズ」といった別シリーズも含まれているが、つばめ出版が作成したリスとに拠って、全て「小島剛夕長篇大ロマン」シリーズとして扱うことにした。 ただし、前出『戦国くの一帖』や『お役者変化』『影法師』(全2巻)などの改題再録本はこれに含めず、別項で紹介する予定。

発行時期については、前出「小島剛夕全作品リスト」に拠ったが、全国出版物卸商業協同組合発行の『書籍雑誌卸月報』に掲載された新刊広告と一致しない作品もあり、そういうものについては、『書籍雑誌卸月報』掲載の発行時期も解題に併記した。

(補足/by風かをる)
いよいよ『長篇大ロマン』の連載が始まります!
カテゴリ『長篇大ロマン』に「長篇大ロマンについて」という短文を掲載していますので併せてご覧ください。

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【連載第11回】 A5判 「柳生忍群」(全5巻)-その5- 

柳生忍群 第5巻(解題)
三洋社発行。 本編144ページ。 昭和36(1961)年夏に出版された。 本文扉に副題として『宿命』と記されている。 第4巻をもって完結したにもかかわらず、どういうわけか出版された第5巻。 ストーリーは続編ではなく、全く関連性のない某藩でのお話。 表紙絵に記されている文言は、第3巻の内容と一致し、どうして第5巻のカバーに使用したのか意味不明。 さらに酷いのは、中身の絵。 似せてはいるものの、どこからどう見ても小島剛夕が描いたものでないのは明白。 当時小島と絵が似ていた久慈あきらが急遽代筆した可能性があるが、確証はない。 精彩を欠いた物語と絵。 粗製濫造を得意とする貸本漫画の悪しき実例として記憶されるべき本である。

(補足/by風かをる)
「柳生忍群」の5巻を読んだとき、成瀬氏とまったく同じ感想を持ちました。 4巻で終わっているのになぜ5巻? 絵柄が久慈あきらに酷似。 表紙の文言については3巻の内容に一致するとあるように2巻の巻末によく似た予告文言が記載されています。(以下抜粋)

剣の掟に生命をかける伊織……
忍びの宿命に生きぬくかげろう……
剣忍両道に苦しむ十兵衛……
そして云われざる骨肉を想う半蔵……
因果坂に今や血風月を濡らさんとして第二集は終わる!……

第5巻は確かにとってつけたような内容になっていて何かつながりがあるのではないかと何度も読み返したりしたものです。 つながりと言えば「柳生忍群・柳生十兵衛」の登場ぐらいでしょうか。 そして些細なことですが主要な登場人物の「佐四郎」、「伊織」の兄弟の名前が故意か偶然か宮本伊織、如月佐十郎と似ています。

4巻までのストーリーがのちの『柳生陰ノ流レ』(週刊漫画アクション連載)であるとすれば、この第5巻の内容が『柳生忍群』(コミックmagazine連載)にあたると考えます。 コミックmagazine連載のストーリーの中には「宿命」というタイトルもありますし良く似た話も掲載されています。


※「あらすじ」は<続きを読む>クリック

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風かをる

Author:風かをる
その旅は昔々店じまいをした貸本屋さんから譲っていただいた数冊の「長篇大ロマン」から始まりました。
小島剛夕作品に魅せられてン十年。果てしない探求の旅が続いています。

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