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この本はマンチュウ様よりお譲りいただきました。長らく「怪談別冊15」の存在が不明だったのですがやっと空欄が埋まったわけです。実はこの本の画像は数年前にK様からお譲りいただき存在は知っていたのですが、何を早とちりしたのかいただいた画像を「その他の貸本」のカテゴリに展示していたのです。
マンチュウ様より『時代特集』としての「怪談別冊15」探求のお知らせをいただかなければずっと「その他の貸本」として展示され続けたことでしょう。
どっぷりとその世界(小島剛夕の世界)にはまり込んでしまった当事者には見えなくなってしまうことがあるということを学びました。でも早とちりで「怪談別冊15」がまだ探求中となっていたおかげで貴重な本をお譲りいただけたのですからある意味ラッキーでもありました。(「蔵書なし」の断りを入れるのを忘れていたためもし正しいカテゴリに展示されていたら当然所有しているものとしてマンチュウ様に探求していただけなかったわけですから・・・汗)
平家一門の高貴な姫として栄耀栄華を極めた暮らしをしてきた「桧垣」。しかし壇ノ浦で源氏に破れ今は海辺の茅屋に住まいする身の上となっていた。心優しい妹の「うづら」は昔の夢を追い求める姉に召使のように仕えていた。そんな「うづら」にも心に住む人ができた。名を「大八郎」といい、皮肉にも姉の「桧垣」が仇と憎む源氏の家来、那須与一の弟であった。
夜になると浜辺で蟹を平家の公達に見立てひと時の栄華の夢に浸る「桧垣」。やがて「うづら」も自分の幸せを求めたいと「桧垣」に「大八郎」との恋を認めてくれるよう頼む。心の中で恐ろしい復讐の念にかられながら平静を装い二人の仮祝言の席を設け酒をすすめる「桧垣」。しかしその酒には恐ろしい毒が・・・。薄れ行く意識の中で「大八郎」は力を振り絞り平家一門の呪いのこもった蟹にむけて刀を投げつけた。
確かに刀は蟹に命中した。しかし蟹に見えたのは「桧垣」であった。姉は死に呪いが解けた。「うづら」の目には楽しそうに公達たちと語らう「桧垣」の姿がはっきりと見えた。「お姉さまはこれで幸せになれる・・・。」それ以来瀬戸内海に住むこの蟹を平家蟹と呼ぶようになったという。
この作品は「コミックmagazine」(S43/12/10)に「赤い渚」として書き直されています。