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【連載第36回】小島剛夕長篇大ロマン24 角兵衛獅子 

24 角兵衛獅子

(解題)
つばめ出版発行。 本編161ページ。 昭和38(1963)年6月頃に出版された。 『書籍雑誌卸月報』では5月の出版予定になっている。 出来心から百両の金を盗んだために愛する少女と別れることになった少年。 再会を夢見る男女の数十年に亘る悲しい擦れ違いを、幕末から明治初期にかけての世相を織り交ぜながら走馬灯のように描いた作品。 ストーリーを詰め込みすぎた感があり、とりわけ物語終盤の黒船来航以降の展開は性急すぎて残念である。

(あらすじ)
親方の一行からはぐれてしまった角兵衛獅子の正太とお美代。 貧しいながらも仲睦まじく旅を続ける二人であったが、お美代が重い病に倒れ、宿賃や薬代に窮した正太は、出来心から百両の金を盗んでしまう。 当然のことながら、正太は捕らわれ、罰として佐渡金山へ送られてしまう。 一方、お美代は借金の形に芸妓として売られてしまうのだった。 数年後、厳しい環境の中で機会を窺っていた正太は、兄貴分の半三とともに、島抜けを試みる。 半三の犠牲によって佐渡島から抜け出せた正太。 彼はお美代との再会を夢見ながら長い月日を放浪の旅に費やすことになるのだった。

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【連載第35回】小島剛夕長篇大ロマン23 花咲ける武士道 

23 花咲ける武士道

(解題)
つばめ出版発行。 本編160ページ。 昭和38(1963)年5月頃に出版された。 『書籍雑誌卸月報』では4月の出版予定になっている。 戦国の世にそれぞれの武士道を追い求める三人の男。 そして恋に生きる二人の女。 五人の男女が織り成す愛と闘争を描いた秀作。 小島剛夕が創り出したキャラクターの代名詞的存在と言える女忍者おぼろが、「長篇大ロマン」シリーズに初登場した作品でもある。 この作品は、昭和43(1968)年に『戦国くの一帖』としてつばめ出版から改題再出版された。 また、リメイクもされ、「おぼろ十忍帖」の第十話「風とゆく武士」として、『週刊漫画アクション』昭和42(1967)年11月2日号から同年11月23日号まで全四回連載された。

(あらすじ)
浅井長政の居城・小谷城は、織田信長率いる大軍に取り囲まれ、落城寸前であった。 決戦前夜。 風代隼人は、運命に逆らわぬという己の武士道を貫くため、城内に残る決意をする。 忠義一辺倒の武骨者・武平次も城を枕に討死の覚悟。 ただ一人、立身出世を夢見る丞馬だけが逃げる気満々。 隼人は、許婚の衣香を丞馬に託して二人を城外へ逃がす。 翌日はやはり総攻撃だった。 小谷城は燃え、浅井家は滅亡した。 隼人と武平次は一か八か死中に活を求めてそれぞれ生き延びる。

女忍者おぼろに瀕死のところを救われた隼人は、忍びの里で治療を受ける。 おぼろは隼人に恋していた。 一方、衣香は小谷城から逃げる時に約束していた場所で隼人を待っていた。 そんな衣香を愛するようになる丞馬。 二人の有様を密かに垣間見た隼人は、夢を追う丞馬と死を求める自分を比べて、衣香から身を引く決意を固める。 喜ぶおぼろ。 隼人もおぼろの想いを受け止めるが、忍者にとって恋は禁物である。 それに気付いた隼人は、そっと忍びの里を去る。 恋焦がれるおぼろは後を追った。

その頃、武平次は琵琶湖周辺に出没する盗賊の頭領になっていた。 彼は隼人を捜すおぼろに出会う。 やがて武平次は知らぬうちにおぼろを愛するようになるのだった。

(補足/by風かをる)
剛夕先生は、「おぼろ」と言う名前に並々ならぬ愛情を持っていらっしゃいました。 同時期に忍者ものを多く手掛けていらした白土三平先生が「おぼろ」の名称を使わせて欲しいとお願いしたことがあったそうですが、これだけはきっぱりとお断りになったとお聞きしました。(西村つや子氏・談)

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【連載第34回】小島剛夕長篇大ロマン22 緋ざくら駕篭  

(解題)
つばめ出版発行。 本編160ページ。 昭和38(1963)年4月頃に出版された。 『書籍雑誌卸月報』では3月の出版予定になっている。 三上於莵吉の名作時代小説「雪之丞変化(ゆきのじょうへんげ)」が元ネタであることは一目瞭然。 さらに、この『緋ざくら駕篭』が出される直前の昭和38年1月13日に公開された市川崑監督・長谷川一夫主演の映画「雪之丞変化」からのパクリと思われるシーンもある。 原作小説を自由に換骨奪胎するにあたって、権力者に対抗する主人公の動機が、原作では家族を殺された恨みと復讐心であったのに対し、『緋ざくら駕篭』では苦境に立たされている恩人への義理に変更されている。 そのため、物語の必然性がやや弱い印象であるのは否めない。 なお、この作品は、後年改題され『お役者変化』としてつばめ出版から再版された。

(あらすじ)
上方で人気を博した名女形中村千之助は、江戸興業のための東下りの道中で、幕閣で権勢を誇る石島嶽翁の一行に出会う。 その中の「姫」と呼ばれた嶽翁の養女・糸路もまた千之助を見て幼馴染みのことを思い出していた。 千之助達が泊まる宿屋に来島藩の重臣今出が訪ねてきた。 今出は千之助にとって大恩人であった。 折しも、来島藩には存亡に関わる一大事が起きていた。 来島藩は、石島嶽翁を通じて特産物運搬のための巨船の建造を公儀に願い出たはずであったが、その申請を嶽翁が握り潰したために、改易の窮地に陥っていた。 疑いを晴らすには申請書を取り戻すしか法は無い。 大の芝居好きである嶽翁から隙を見て申請書を奪って欲しいと恩人から頼まれ、千之助は快諾する。 目的達成のため、千之助は幼馴染みに瓜二つの糸路姫に近付くが…。

(補足/by風かをる)
この作品は「雪之丞変化」と「男の花道」という二作品を下敷きにしています。 歌舞伎関連の作品でそれぞれが何回か映画化され、好評を得ています。 一作品で十分見所があるので、一冊の本に納めるには少々無理があったかなと言う感じがします。 簡単に言えば「雪之丞変化」は復讐話、「男の花道」は男の友情話です。 それぞれの作品の山場を外したため物足りなく感じてしまうのかもしれません。

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【連載第33回】小島剛夕長篇大ロマン21 乱菊くろかみ帖 

21 乱菊くろかみ帖

(解題)
つばめ出版発行。 本編158ページ。 昭和38(1963)年3月頃に出版された。 帝の子でありながら庶子として日陰者の道を歩まねばならなかった美剣士・陽炎菊太郎の悲恋と剣戟を描いた作品。 よくあるセンチメンタルな物語を手堅く仕上げている。 この作品は後に小島自身によってリメイクされ、『別冊漫画アクション』昭和44(1966)年6月号と7月号に全二回連載された。

(あらすじ)
禁門の掟として、高貴な血に庶民の血が入ってはならぬ。 そのために、陽炎菊太郎の母は殺された。 帝の子を産んだばかりに…。 形見に残された陽炎丸の宝刀が新たな災いを呼ぶ。 菊太郎成人の日、柳生門人の言い掛かりによって長年菊太郎を育ててきた乳母が殺された。 復讐のため菊太郎は陽炎丸を鞘から抜く。 その日から、菊太郎の血みどろの戦いが始まった。 彼の悲しみの叫びは父である帝の耳に届くのであろうか。

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(補足/by風かをる)
時代背景もストーリーも違いますがラストシーンがよく似た作品があります。 オール怪談67に掲載された「くろ髪遺恨」です。 ラスト、黒髪に抱かれて滝つぼに落ちてゆく主人公の姿がこの乱菊くろかみ帖の菊太郎にダブります。 「オール怪談67」は昭和44年頃の発行なので『乱菊くろかみ帖』のイメージの再利用と思われます。

【乱菊くろかみ帖】より
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オール怪談67 【くろ髪遺恨】より
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【連載第32回】小島剛夕長篇大ロマン20 明暗まんじ笛 

20 明暗まんじ笛

(解題)
つばめ出版発行。 本編158ページ。 昭和38(1963)年2月頃に出版された。 『書籍雑誌卸月報』では1月の出版予定になっている。 デビュー作『かげろう殺法』や『雨のおらんだ坂』と同じ流れを汲む作品。 登場人物や時代背景の設定において、前記二作品と類似する点が多く、新味に乏しい。 キリシタンと因縁浅からぬ出生の秘密を持つ天知千四郎が主人公。 記念すべき第20作目ということで、大幅に増ページされた。 第25巻『折鶴影法師』まで増ページは続く。

(あらすじ)
島原の乱の鎮圧から二年が経った。 「まぼろし若衆」と呼ばれる謎の剣士によって旗本が惨殺される事件が頻繁に起こった。 暗い出生の秘密を持つ天知千四郎の親友若木十内も「まぼろし若衆」の刃に斃れる。 千四郎は、事件の真相を探るうちに、背後にキリシタンの残党の影を見付け、やがて、自らの出生の秘密を知ることになる。

(補足/by風かをる)
カテゴリ『長篇大ロマン』、「明暗まんじ笛」参照

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【連載第31回】小島剛夕長篇大ロマン19 浪花歌行燈 

19 浪花歌行燈

(解題)
つばめ出版発行。 本編126ページ。 昭和38(1962)年1月頃に出版された。 幕末を舞台にした「燈(ともしび)シリーズ三部作」の最終作。 新撰組隊士・原田左之助を主役にした一編。 しかし、その人物設定は、史実と全く違うものである。 このお話の原田左之助は、鳥羽伏見の戦いに敗れた後、新撰組から脱走、恋人と結婚して、日清戦争後まで存命したことになっている。

(あらすじ)
原田左之助は、父の遺言を守って武士の身分を捨て、商家に奉公していた。 幕府の役人であった父は、薩摩藩の横暴により詰腹を切らされて死んだのだった。 左之助の心には薩摩藩への深い恨みが遺されていた。 奉公先の菱屋は、大坂・船場の大店だった。 一人娘のお京は左之助と恋に落ちるが、周囲の反対により二人は別れさせられる。 菱屋を追い出された左之助は、旧知の伊東甲子太郎を頼って京都・壬生の新撰組に入隊し、幕末の血生臭い風の中を突き進むことになる。

(補足/by風かをる)
カテゴリ『長篇大ロマン』、「浪花歌行燈」参照

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【連載第30回】小島剛夕長篇大ロマン18 おぼろ常夜燈 

18 おぼろ常夜燈

(解題)
つばめ出版発行。 本編129ページ。 昭和37(1962)年11月頃に出版された。 幕末を舞台にした「燈(ともしび)シリーズ三部作」の第二作。 身分違いの男女の愛が時代の荒波に翻弄され悲劇の結末を迎えるまでを描く。 二人の前に立ちはだかる数々の試練が偶然的要素の強いものばかりであるため、御都合主義的色彩の濃いストーリーに堕した感がある。 残念ながら、「小島剛夕長篇大ロマン」シリーズの中では失敗作の部類に入る作品

(あらすじ)
郡代の次男坊・小四郎と百姓の一人娘・お美乃は、身分を越えた恋に燃え、故郷の地を出奔する。 一ヵ月後、江戸に辿り着いた二人は、希望に満ちた新生活を夢見るが、運の悪いことに、ある岡っ引きの勘違いのため、捕り手に追われる羽目に陥る。 広い江戸の街中で離れ離れになった二人は、再会を果たせず、数年の月日が経つ。 時の流れはあまりにも非情で冷酷だった。 小四郎は薩摩藩に飼われる人斬りとなり、お美乃は名うての女スリとなっていた。 汚れ切った二人は、ついに再開するが…。

(補足/by風かをる)
カテゴリ『長篇大ロマン』、「おぼろ常夜燈」参照

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 プロフィール

風かをる

Author:風かをる
その旅は昔々店じまいをした貸本屋さんから譲っていただいた数冊の「長篇大ロマン」から始まりました。
小島剛夕作品に魅せられてン十年。果てしない探求の旅が続いています。

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