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【連載第13回】小島剛夕長篇大ロマン1 花の炎 

1 花の炎(解題)

つばめ出版発行。 本編157ページ。 昭和36(1961)年3月頃に短編誌『怪談』の別冊として出版された。 貸本時代を代表する人気シリーズ「小島剛夕長篇大ロマン」の記念すべき第一作。

『書籍雑誌卸月報』に拠れば当初は「愛染の門」という題名で出される予定だった。 敵対せざるを得ない男達の友情と彼らを愛した女達の哀しみを描いた一編。 女心を震わす哀愁のロマンチシズムと艶やかな画風は第一作から絶好調。 女性読者のハートをしっかりと掴んだ。

(あらすじ)
隠し目付として城内の抜け道の秘密を守る喬四郎は、ある雨の夜、その秘密を探らんとする公儀隠密を捕えて愕然とする。 それは、恋人かおりであった。 恋愛と任務の狭間で苦しむ喬四郎であったが、結局彼は任務を優先し、恋人かおりを牢に繋いだ。

一年後、喬四郎はかおりの亡霊に悩まされていた。 喬四郎の妹織江に密かな恋心を抱く新参者の相楽三平は、喬四郎が苦悩の理由を語らぬことに不審を抱く。 三平は織江に自分の妹が一年前に行方不明になったことをさりげなく伝えるが、その妹とは実はかおりであった。

三平もかおりと同じく公儀隠密で、城内の抜け道の秘密を探らんがため、半年前に素性を偽って召し抱えられたのだった。 やがて、三平と織江は喬四郎も公認の相思相愛の間柄となるが、三平の任務遂行の日も近付いていた。 三平と織江の恋も、喬四郎とかおりの時と同じように、儚く散る運命にあったのである。

(補足/by風かをる)カテゴリ『長篇大ロマン』、「花の炎」参照

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【連載第12回】小島剛夕長篇大ロマン(全52巻) 

小島剛夕の人気を決定付けた長編単行本シリーズである。 美男美女の恋愛と悲劇という日本人が最も好む王道の物語が、精微で色気のある筆遣いによって、情緒豊かに展開。 ある意味通俗的ではあるが、その甘美で華麗な作品世界は、今もなお色褪せていない。

全52巻としたのは、第23巻『花咲ける武士道』の改題再録本である『戦国くの一帖』(昭和43年刊・つばめ出版)の巻末に掲載された「小島剛夕全作品リスト」に拠る。 ここで「A5長篇大ロマン」と分類されたものが全部で52作品。 実際は、『帰去来峠』『修羅無常』などの「小島剛夕・名作劇場」や『お軽と勘平』『紅だすき素浪人』などの「純愛忠臣蔵シリーズ」といった別シリーズも含まれているが、つばめ出版が作成したリスとに拠って、全て「小島剛夕長篇大ロマン」シリーズとして扱うことにした。 ただし、前出『戦国くの一帖』や『お役者変化』『影法師』(全2巻)などの改題再録本はこれに含めず、別項で紹介する予定。

発行時期については、前出「小島剛夕全作品リスト」に拠ったが、全国出版物卸商業協同組合発行の『書籍雑誌卸月報』に掲載された新刊広告と一致しない作品もあり、そういうものについては、『書籍雑誌卸月報』掲載の発行時期も解題に併記した。

(補足/by風かをる)
いよいよ『長篇大ロマン』の連載が始まります!
カテゴリ『長篇大ロマン』に「長篇大ロマンについて」という短文を掲載していますので併せてご覧ください。

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【連載第11回】 A5判 「柳生忍群」(全5巻)-その5- 

柳生忍群 第5巻(解題)
三洋社発行。 本編144ページ。 昭和36(1961)年夏に出版された。 本文扉に副題として『宿命』と記されている。 第4巻をもって完結したにもかかわらず、どういうわけか出版された第5巻。 ストーリーは続編ではなく、全く関連性のない某藩でのお話。 表紙絵に記されている文言は、第3巻の内容と一致し、どうして第5巻のカバーに使用したのか意味不明。 さらに酷いのは、中身の絵。 似せてはいるものの、どこからどう見ても小島剛夕が描いたものでないのは明白。 当時小島と絵が似ていた久慈あきらが急遽代筆した可能性があるが、確証はない。 精彩を欠いた物語と絵。 粗製濫造を得意とする貸本漫画の悪しき実例として記憶されるべき本である。

(補足/by風かをる)
「柳生忍群」の5巻を読んだとき、成瀬氏とまったく同じ感想を持ちました。 4巻で終わっているのになぜ5巻? 絵柄が久慈あきらに酷似。 表紙の文言については3巻の内容に一致するとあるように2巻の巻末によく似た予告文言が記載されています。(以下抜粋)

剣の掟に生命をかける伊織……
忍びの宿命に生きぬくかげろう……
剣忍両道に苦しむ十兵衛……
そして云われざる骨肉を想う半蔵……
因果坂に今や血風月を濡らさんとして第二集は終わる!……

第5巻は確かにとってつけたような内容になっていて何かつながりがあるのではないかと何度も読み返したりしたものです。 つながりと言えば「柳生忍群・柳生十兵衛」の登場ぐらいでしょうか。 そして些細なことですが主要な登場人物の「佐四郎」、「伊織」の兄弟の名前が故意か偶然か宮本伊織、如月佐十郎と似ています。

4巻までのストーリーがのちの『柳生陰ノ流レ』(週刊漫画アクション連載)であるとすれば、この第5巻の内容が『柳生忍群』(コミックmagazine連載)にあたると考えます。 コミックmagazine連載のストーリーの中には「宿命」というタイトルもありますし良く似た話も掲載されています。


※「あらすじ」は<続きを読む>クリック

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【連載第10回】 A5判 「柳生忍群」(全5巻)-その4- 

柳生忍群 第4巻(解題)
三洋社発行。 本編160ページ。 昭和36(1961)年春から夏にかけて出版された。 多彩なキャラクターを自由自在に操った大作時代劇の事実上の完結編。 柳生十兵衛・かげろう・宮本伊織・服部半蔵・真田幸村らのそれぞれの行くべき道が示される。 急いで執筆したためか、第2巻・第3巻に比べて、登場人物の表情や動きに描き込みが少なく、全体的に絵が粗くなった感があり、残念である。 それでもストーリーは抜群に面白く、複雑に入り乱れた人物関係を大団円に向けて無駄なく収束させていく手腕は見事だ。 清涼感のあるハッピーエンドは好感が持てる。

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【連載第9回】 A5判 「柳生忍群」(全5巻)-その3- 

柳生忍群 第3巻(解題)
三洋社発行。 本編160ページ。 昭和36(1961)年3月9日に出版された。 本文扉に副題として「影の抄篇」と記されている。 第2巻に引き続き小島剛夕が快調に絵筆を走らせ、読む者を魅了。 柳生十兵衛と宮本伊織の決闘、かげろうと柳生忍群の対決、真田幸村とその配下の忍者の暗躍、可憐なヒロイン美保やユーモラスな沢庵和尚の登場など、第2巻以上に見所が多く、飽きさせない。 息も吐かせぬ面白さで次巻が早く読みたくなる。 丁寧に描き込まれた絵は第2巻同様に完成度が高い。

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柳生忍群・表紙  柳生忍群・扉(目次)

柳生忍群・本文1

柳生忍群・本文2


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【連載第8回】 A5判 「柳生忍群」(全5巻)-その2-  

柳生忍群 第2巻(解題)
三洋社発行。 本編176ページ。 昭和35(1960)年晩秋(11月下旬頃?)に出版された。 本文扉に副題として「黒いかげろう篇」と記されている。 第2巻の発売はかなり遅れたらしく、編集後記にお詫びが載っている。 しかし遅れただけあって、絵の完成度とストーリーの面白さは第1巻以上である。 前作のラストから十五年後が舞台。 如月佐十郎と利香の間に生まれ、忍者に育てられたかげろうが登場。 「風盗」と呼ばれる忍犬の群れとかげろう率いる忍者集団が対決する一連のシークエンスは『柳生忍群』全編の中でも屈指のアクションシーン。 その躍動感と迫力は、思わず手に汗を握るほどの出来栄え。 後半には宮本武蔵の養子宮本伊織も登場し、柳生十兵衛の身辺は俄かに慌ただしくなる。

※「あらすじ」は<続きを読む>クリック

表紙 P2

P66-67(見開き)

P71 P79 P156


(補足/by風かをる)
「柳生忍群(全5巻)」は後年、「柳生陰ノ流レ」(週刊漫画アクション連載)として描き直されました。 只、物語に大きな影響を持つことになる「日ノ一の術」は「くノ一の術」として登場しています。 「くノ一の術」に関しての説明がありますが、無理やり感があり、今一つスッキリしません。 なぜ術の名前を変更したのか不思議です。

また、成瀬氏が躍動感と迫力を感じたと言われている場面(「風盗」と呼ばれる忍犬の群れとかげろう率いる忍者集団の対決シーン)は剛夕先生自身も大変気に入っていらっしゃたようでくり返し作品に取り入れています。 (例:「忍鬼 赤不動」 「忍法 影一字」 「忍者 ハヤト」等) また、剛夕先生が漫画化されている作品に柴田錬三郎原作の『赤い影法師』がありますが、剛夕先生はこの作品からたくさんのヒントを得ていたようです。 

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【連載第7回】 A5判 「柳生忍群」(全5巻)-その1- 

柳生忍群 第1巻(解題)
三洋社発行。 本編192ページ。 昭和35(1960)年夏(8月頃?)に出版された。 白土三平『忍者武芸帳』の出版社である三洋社は、その成功と人気の余勢をかってか、昭和35年から翌36年にかけて忍者もののシリーズを次々と送り出した。 小島剛夕によるこの『柳生忍群』(全5巻)もそうしたシリーズのひとつであり、他には久慈あきらの『伊賀幻法帖』(全4巻)や橋本よしはるの『六人の忍者』(全4巻)などがある。

小島が単行本の形で本格的な長編を世に送り出すのは、『忍法!! 黒い影』以来約一年半ぶりとあって、第1巻から滲み出てくる作品への意気込みは尋常ならざるものがある。 五味康祐の未完小説「柳生武芸帳」を始め多くの時代小説から霊感を受けて構想を練ったと思われるストーリーは、ページを繰る度に広がりと深さを見せ、興趣は尽きない。 躍動感溢れる殺陣シーンは、まるで実写映画を見ているような迫力。 柳生十兵衛が立ち合い中の事故に見せかけ自らの左眼を潰してまで会得した「日ノ一ノ術」とは何か? そして、柳生一族の目的とは? 多くの人々の幸福や生命を巻き込んだ凄絶な戦いが幕を開ける。 のちの「子連れ狼」を髣髴させる大作の序章である。

※「あらすじ」は<続きを読む>クリック

柳生忍群1(表紙)  本文P2

本文P49  本文P184


(補足/by風かをる)
剛夕先生は貸本時代から多くの柳生関連の作品を発表しています。 この作品をもとにしてさらにストーリーに奥行きを持たせたり、コミカルに扱ったりした作品が青年誌、少年誌に掲載されました。

 ・十兵衛の目  昭和41年「ぼくら」増刊号
 ・片目柳生   昭和42年「少年サンデー」連載
 ・柳生陰ノ流レ 昭和44年「週刊漫画アクション」連載

なお、青年誌「コミックmagazine」に掲載された『柳生忍群』には『日ノ一ノ術』は出てきません。


【参考画像】

「ぼくら」掲載作品  「少年サンデー」掲載作品

「週刊漫画アクション」掲載作品  「コミックmagazine」掲載作品



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 プロフィール

風かをる

Author:風かをる
その旅は昔々店じまいをした貸本屋さんから譲っていただいた数冊の「長編大ロマン」から始まりました。
小島剛夕作品に魅せられてン十年。果てしない探求の旅が続いています。

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