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【連載第33回】小島剛夕長篇大ロマン21 乱菊くろかみ帖 

21 乱菊くろかみ帖

(解題)
つばめ出版発行。 本編158ページ。 昭和38(1963)年3月頃に出版された。 帝の子でありながら庶子として日陰者の道を歩まねばならなかった美剣士・陽炎菊太郎の悲恋と剣戟を描いた作品。 よくあるセンチメンタルな物語を手堅く仕上げている。 この作品は後に小島自身によってリメイクされ、『別冊漫画アクション』昭和44(1966)年6月号と7月号に全二回連載された。

(あらすじ)
禁門の掟として、高貴な血に庶民の血が入ってはならぬ。 そのために、陽炎菊太郎の母は殺された。 帝の子を産んだばかりに…。 形見に残された陽炎丸の宝刀が新たな災いを呼ぶ。 菊太郎成人の日、柳生門人の言い掛かりによって長年菊太郎を育ててきた乳母が殺された。 復讐のため菊太郎は陽炎丸を鞘から抜く。 その日から、菊太郎の血みどろの戦いが始まった。 彼の悲しみの叫びは父である帝の耳に届くのであろうか。

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(補足/by風かをる)
時代背景もストーリーも違いますがラストシーンがよく似た作品があります。 オール怪談67に掲載された「くろ髪遺恨」です。 ラスト、黒髪に抱かれて滝つぼに落ちてゆく主人公の姿がこの乱菊くろかみ帖の菊太郎にダブります。 「オール怪談67」は昭和44年頃の発行なので『乱菊くろかみ帖』のイメージの再利用と思われます。

【乱菊くろかみ帖】より
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オール怪談67 【くろ髪遺恨】より
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【連載第32回】小島剛夕長篇大ロマン20 明暗まんじ笛 

20 明暗まんじ笛

(解題)
つばめ出版発行。 本編158ページ。 昭和38(1963)年2月頃に出版された。 『書籍雑誌卸月報』では1月の出版予定になっている。 デビュー作『かげろう殺法』や『雨のおらんだ坂』と同じ流れを汲む作品。 登場人物や時代背景の設定において、前記二作品と類似する点が多く、新味に乏しい。 キリシタンと因縁浅からぬ出生の秘密を持つ天知千四郎が主人公。 記念すべき第20作目ということで、大幅に増ページされた。 第25巻『折鶴影法師』まで増ページは続く。

(あらすじ)
島原の乱の鎮圧から二年が経った。 「まぼろし若衆」と呼ばれる謎の剣士によって旗本が惨殺される事件が頻繁に起こった。 暗い出生の秘密を持つ天知千四郎の親友若木十内も「まぼろし若衆」の刃に斃れる。 千四郎は、事件の真相を探るうちに、背後にキリシタンの残党の影を見付け、やがて、自らの出生の秘密を知ることになる。

(補足/by風かをる)
カテゴリ『長篇大ロマン』、「明暗まんじ笛」参照

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【連載第31回】小島剛夕長篇大ロマン19 浪花歌行燈 

19 浪花歌行燈

(解題)
つばめ出版発行。 本編126ページ。 昭和38(1962)年1月頃に出版された。 幕末を舞台にした「燈(ともしび)シリーズ三部作」の最終作。 新撰組隊士・原田左之助を主役にした一編。 しかし、その人物設定は、史実と全く違うものである。 このお話の原田左之助は、鳥羽伏見の戦いに敗れた後、新撰組から脱走、恋人と結婚して、日清戦争後まで存命したことになっている。

(あらすじ)
原田左之助は、父の遺言を守って武士の身分を捨て、商家に奉公していた。 幕府の役人であった父は、薩摩藩の横暴により詰腹を切らされて死んだのだった。 左之助の心には薩摩藩への深い恨みが遺されていた。 奉公先の菱屋は、大坂・船場の大店だった。 一人娘のお京は左之助と恋に落ちるが、周囲の反対により二人は別れさせられる。 菱屋を追い出された左之助は、旧知の伊東甲子太郎を頼って京都・壬生の新撰組に入隊し、幕末の血生臭い風の中を突き進むことになる。

(補足/by風かをる)
カテゴリ『長篇大ロマン』、「浪花歌行燈」参照

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【連載第30回】小島剛夕長篇大ロマン18 おぼろ常夜燈 

18 おぼろ常夜燈

(解題)
つばめ出版発行。 本編129ページ。 昭和37(1962)年11月頃に出版された。 幕末を舞台にした「燈(ともしび)シリーズ三部作」の第二作。 身分違いの男女の愛が時代の荒波に翻弄され悲劇の結末を迎えるまでを描く。 二人の前に立ちはだかる数々の試練が偶然的要素の強いものばかりであるため、御都合主義的色彩の濃いストーリーに堕した感がある。 残念ながら、「小島剛夕長篇大ロマン」シリーズの中では失敗作の部類に入る作品

(あらすじ)
郡代の次男坊・小四郎と百姓の一人娘・お美乃は、身分を越えた恋に燃え、故郷の地を出奔する。 一ヵ月後、江戸に辿り着いた二人は、希望に満ちた新生活を夢見るが、運の悪いことに、ある岡っ引きの勘違いのため、捕り手に追われる羽目に陥る。 広い江戸の街中で離れ離れになった二人は、再会を果たせず、数年の月日が経つ。 時の流れはあまりにも非情で冷酷だった。 小四郎は薩摩藩に飼われる人斬りとなり、お美乃は名うての女スリとなっていた。 汚れ切った二人は、ついに再開するが…。

(補足/by風かをる)
カテゴリ『長篇大ロマン』、「おぼろ常夜燈」参照

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【連載第29回】小島剛夕長篇大ロマン17 お小姓吹雪 

17 お小姓吹雪

(解題)
つばめ出版発行。 本編126ページ。 昭和37(1962)年10月頃に出版された。 織田信長のお小姓として有名な森蘭丸が主人公の絢爛豪華な戦国絵巻。 主君・信長と恩人・明智光秀の間で板挟みになる蘭丸の苦悩、光秀の娘・蓉(よう)と蘭丸の恋、信長の姪・千草の嫉妬などが描かれる。 通俗的で平凡な題材ながら、卓越した構成力で一気に読ませる。

(あらすじ)
森三左ヱ門の遺児・森蘭丸は、明智光秀のおかげで織田信長のお小姓に取り立てられる。 信長の姪・千草は、蘭丸に恋心を抱くが、蘭丸は光秀の娘・蓉と恋に落ちる。 千草は二人の関係に嫉妬し、それは信長の知るところとなる。 信長は千草を実の娘同様に溺愛し、千草と蘭丸を結婚させるつもりであった。 以前から確執のあった信長と光秀の関係はさらに悪化し、その板挟みとなって蘭丸の苦悩は増すばかりであった。 そして、ついにその時は来た…。

(補足/by風かをる)
カテゴリ『長篇大ロマン』、「お小姓吹雪」参照

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【連載第28回】小島剛夕長篇大ロマン16 春秋走馬燈 

16 春秋走馬燈

(解題)
つばめ出版発行。 本編126ページ。 昭和37(1962)年9月頃に出版された。 作者自ら「燈(ともしび)シリーズ三部作」と名付けた幕末ものの第一作。 幕末から西南戦争にかけての激動期を背景に、仇敵の間柄にもかかわらず恋に落ちてしまった男女の苦悩を描く。 大きな時代の激流に飲み込まれた恋物語はありふれた題材だが、人妻が夫の仇を愛するというこれまでのシリーズにはない大人の恋愛を描いた点が新鮮である。 この作品あたりから艶麗な画風にさらに磨きがかかってくる。

(あらすじ)
主君・石河土佐守に裏切られ恋人の雪絵を喪った曽笛辰之介は、左遷先の飛騨高山で無為な日々を送っていた。 だが、幕末風雲急を告げ、官軍が錦の御旗を押し立てて江戸へ進軍するのを聞くや、俄かに復讐の念沸き起こり、辰之介は江戸に立ち戻る。 石河を斬り殺し復讐を果たした辰之介だったが、彼の心に去来するのは虚しさだけであった。 生き甲斐を完全に失った辰之介は、石河の遺言を聞き入れ、その妻・八重を実家のある九州熊本へ送り届けることになった。 八重は驚いたことに、亡き雪絵に生き写しであった。 戊辰戦争の混乱の中、辰之介と八重は熊本への道を急ぐ。 道中、二人は仇の間柄でありながら徐々に心を通わせるようになる…。

(補足/by風かをる)
カテゴリ『長篇大ロマン』、「春秋走馬燈」参照

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【連載第27回】小島剛夕長篇大ロマン15 小袖葛の葉 

15 小袖葛の葉

(解題)
つばめ出版発行。 本編126ページ。 昭和37(1962)年8月頃に出版された。 「恋しくば尋ね来て見よ和泉なる信太の森のうらみ葛の葉」の歌で有名な「葛の葉狐」の伝説に基づいた作品。 人間の男と恋に落ち子供まで儲けてしまった女狐の悲恋を描く。 本が出る約三ヶ月前の昭和37年5月1日に、同じ題材を扱った映画「恋や恋なすな恋」が公開されており、小島剛夕は「やりにくかった」と読者欄「花のたより」の中で語っている。 ちなみに「恋や恋なすな恋」は、「宮本武蔵」「飢餓海峡」の内田吐夢が監督し、大川橋蔵と嵯峨美智子が主演した。

(あらすじ)
陰陽師・賀茂保憲の内弟子である安部保名は、ある日、狩人の矢を受けた老婆姿の狐を救う。 老狐の孫娘・おコンは人間の男である保名に恋心を抱くが、保名は保憲の養女・葛の葉との婚礼を控えていた。 ちょうどその頃、帝は病に臥し、相次ぐ天変地異によって人々の心に不安が絶えることはなく、各地に騒乱や飢饉が起きていた。 未曽有の国難に対処するべく、中国に渡って白道仙人から「金烏玉兎集」という陰陽道の秘巻を譲り受けろとの命令が保名に下った。 葛の葉との婚礼を延期して唐土の国に渡った保名。 彼の無事を毎日祈願する葛の葉は、ついに病に倒れ、保名の帰りを待たずして他界する。 死に目に会えなかった保名は、悲嘆の余り正気を失い、行方不明となる。 当て所もなく彷徨う保名の目の前に、死んだはずの葛の葉が現れる。 それは保名を慕う女狐・おコンが変化した姿だった。

(補足/by風かをる)
カテゴリ『長篇大ロマン』、「小袖葛の葉」参照

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 プロフィール

風かをる

Author:風かをる
その旅は昔々店じまいをした貸本屋さんから譲っていただいた数冊の「長篇大ロマン」から始まりました。
小島剛夕作品に魅せられてン十年。果てしない探求の旅が続いています。

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